こまめな水分補給で熱中症予防
総務省消防庁の発表によると、2017年7月に熱中症で救急搬送された人の数はここ5年間で最も多い約2万7千人で、うち31人の方が亡くなっています。これから暑さは増す一方、しっかりとした熱中症対策でこの夏を健康に乗り切りましょう。
高齢者は特に注意。室内での対策もしっかりと
熱中症による救急搬送が最も多いのは高齢者です。熱中症は、高温下で体内の水分や塩分などのバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなることで起こり、体温上昇やめまい、痙攣などの症状が現れます。高齢になると体内の水分量が減少するため、脱水状態になりやすくなり、発汗などの体温の調節機能も低下します。暑いと感じる感覚も年齢とともに鈍くなり、喉の渇きも感じにくくなるために、高齢者は熱中症になったことに気づかないことが多く、症状が進行して重症化する傾向がみられます。
また、脳卒中の後遺症がある人や糖尿病の人も感覚が低下しているので、熱中症のリスクが高いことを知っておきましょう。
熱中症の発生場所は屋外が多いと思われがちですが、実は最も多いのは室内です。家で過ごすときも熱中症対策は欠かせません。
入浴前後や就寝前、起床時も水分補給
熱中症の予防の第一はこまめな水分補給です。入浴中や睡眠時にも汗をかいているので、入浴前後、寝る前、起床時にも水分を補給しましょう。スポーツなどで大量に汗をかくと汗とともに塩分も体外へ出てしまうので、塩分の補給も必要です。スポーツ飲料は塩分に加えて糖分も多く含まれるので、糖尿病などで糖分の摂取を控えている人は、水で半分薄めるなどの工夫をしましょう。食事量が少なく、食事からの水分が十分に摂れない高齢者や、下痢をしている人などは、塩分が多めで糖分が少ない経口補水液を利用するのもよいでしょう。
体温を上昇させないことも熱中症予防に有効です。11~15時の暑い時間帯の外出はなるべく避ける、外出した際には時々涼しい場所で休むなどを心がけましょう。
室内が高温多湿にならないようにすることも大切です。日中だけでなく夜間もエアコンを使うなどして、室内の温度や湿度を管理しましょう。
意識がないときは急いで救急車を
暑い日にしゃがみこんでいたり、ふらついている人がいたら熱中症を疑い、声をかけましょう。意識があれば涼しい場所へ移動させ、冷たいペットボトルなどで体を冷やします。意識がない場合は重篤な状況に陥っている状態です。すぐに救急車を呼んでください。救急車が来るまでの間、できれば涼しい場所で体を冷やしましょう。
熱中症についてわからないことがあるときは薬剤師に気軽におたずねください。
<イラストレーション>堺直子