保険適用の禁煙アプリも登場 ~禁煙最新トピックス〜
世界保健機関(WHO)は平成元年、喫煙しないことが一般的な社会習慣となることを目指し、5月31日を世界禁煙デーと定めました。それから30年余り、喫煙・禁煙に関する環境は大きく変化しました。特に、昨年は大きな動きがありました。
喫煙は周囲の人の健康にも悪影響
タバコの煙にさまざまな有害物質が含まれていることは周知のとおりです。ニコチンやタール、アセトン、ブタン、ヒ素、カドミウム、一酸化炭素など、その数は200種類以上にも及びます。こうした有害物質は、喫煙者が吸い込む主流煙よりも、タバコの先から立ちのぼる副流煙のほうに高濃度に含まれることがわかっています。
副流煙や喫煙者の息から出る呼出煙を知らないうちに吸ってしまうことを受動喫煙といいます。家族に喫煙者がいたり、喫煙可能なお店で働いていたりすると、受動喫煙にさらされる危険が高くなります。こうした人は肺がんや脳卒中、虚血性心疾患などのリスクが高くなることが明らかになっています。また、受動喫煙で喘息の人が発作を起こすこともあります。
つまり、タバコを吸うことは本人だけの問題ではなく、ほかの人の健康も損ないかねない行為と認識しておく必要があります。
法改正により多くの施設内は禁煙に
望まない受動喫煙をなくすため、2018年7月に「健康増進法の一部を改正する法律」(以下、改正法)が成立し、2020年4月に全面施行となりました。これにより、飲食店やオフィス、交通機関など、さまざまな施設の中は原則禁煙となりました。さらに、20歳未満の人が多い学校や患者さんが集まる病院などの施設では、敷地内も禁煙となっています。
一方で施設の類型・場所ごとに、喫煙専用、加熱式タバコ専用など各種喫煙室の設置が認められています。この場合、喫煙室の種類に応じて標識を提示することが義務づけられています。なお、改正法を守れない場合は、罰則が適用されることもあります。
自分に合った方法で禁煙を成功させよう
禁煙するためには、市販のニコチンガムやニコチンパッチを利用する方法があります。自分だけではどうしても禁煙が続けられない場合は、医師に相談するのもよいでしょう。ニコチン依存症と診断されるなどの条件を満たせば、公的医療保険が適用されます。
また、2020年11月には、ニコチン依存症の人向けのアプリの使用が初めて公的医療保険の適用になっています。患者さんはスマートフォンにダウンロードしたアプリに、自分で測定した呼気の一酸化炭素濃度値や日々の体調を記録します。すると、その記録に合わせてさまざまなアドバイスが送られてくる仕組みになっています。
いずれにせよ、禁煙に遅すぎるということはありません。ぜひ今日から禁煙に取り組みましょう。なお、禁煙についてわからないことがあるときは薬剤師に気軽におたずねください。