こころの健康にもっと目を向けよう

“コロナうつ”という言葉をしばしば耳にするようになりました。新型コロナウイルス感染症の拡大長期化は私たちのこころに大きなストレスを与えています。こうした状況だからこそ、こころの健康にもっと注意を払いたいものです。

<イラストレーション>堺直子

 

こころの病気は、体とこころに不調が現れます

楽しいことが続くと、快眠、快便、快食となって体の調子もよくなりませんか。こころも穏やかになり優しい笑顔で過ごせるのではないでしょうか。天気でいえば快晴といった感じです。ところが不安や恐怖などのストレスが続くと、体もこころもなんだかすっきりせず、曇天や雨、もっとひどいときには嵐といった感じになります。
体の不調としては不眠や食欲不振、倦怠感、首や肩のこり、頭痛、下痢・便秘、息苦しさなどが現れることがあります。一方、こころの不調としては、何をしても楽しくない、何もやる気がしない、イライラする、人に会うのがおっくう、気分が重いといった症状などが現れます。
このような体やこころの不調は、身体的な病気でもよく見られます。例えば不眠は、睡眠中に何度も呼吸が停止する睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状ですし、意欲の減退は認知症でも現れる症状です。

 

こころの病気にはさまざまな種類があります

こころの病気といっても、さまざまな種類があります。例えば、東日本大震災や熊本地震のあとには、その辛い経験に対して時間が経ってからも強い恐怖を感じるPTSD(心的外傷後ストレス障害)の人が増えたといわれます。また、気持ちや考えがまとまりにくくなってしまう統合失調症は若い年代に発症しやすいのが特徴です。同じこころの病気でも、種類が違えば治療へのアプローチは異なります。
体の不調は本人も感じやすいのですが、こころの不調は自覚しにくいものです。それだけに、周囲の人が早めに気づくことが大切です。本人だけでなく、周囲の人がなにかおかしいと感じたときも、まずは医療機関を受診して、その原因を調べてもらいましょう。

 

悩みのある人の相談窓口があります

近年減少傾向にあった自殺者の数が、昨年7月以降増加しているそうです。その背景には新型コロナウイルス感染症がもたらしている心理的・社会的影響があるといわれます。
人間関係や仕事の悩み、体の不調への不安などを一人で抱え続けているとますますストレスが大きくなり、症状が悪化しかねません。最近は、悩みのある人の相談窓口がたくさん用意されています。身近なところとしては保健所があります。保健所では、こころの健康、医療、福祉に関する相談、ひきこもり相談、アルコール依存症の家族相談など幅広く受け付けています。
また、薬剤師は地域の方々の健康のサポーターです。どこに相談すればよいかわからないという場合は、薬剤師に気軽におたずねください。