腸の調子を整えるには?

口から取り入れられた食べ物は、胃、小腸で消化・吸収され、残りかすが大腸へ送られます。大腸を通る間に水分が吸収されて適度な硬さの便となり、最終的に肛門から排泄されます。重要な消化器官である腸のトラブルは、栄養分の消化・吸収・排泄に大きな影響を与えます。

 

食事と運動で便秘解消を

腸の調子がはっきりと現れるのが“便”です。便はいわば“腸からのお便り”。気持ちよく便が出れば腸が元気な証拠。逆に、便秘や下痢の場合は、腸の働きがスムーズでないことを伝えています。
「便が出切らない感じ」「おなかが張っている感じ」「便が硬い」「便の出が悪い」といった不快な状態が便秘で、その多くが腸の機能低下による機能性便秘です。主な原因は、食物繊維の摂取不足や不規則な食事、運動不足、トイレに行くのを我慢するなどの生活習慣です。
機能性便秘の解消の基本は食事と運動です。1日3回規則正しい食事をし、水分を十分に取り、野菜やキノコ、海藻類など食物繊維の多い食品を積極的に取りましょう。ヨーグルトなど腸内細菌のバランスをよくする食品を取り入れるのもよいでしょう。朝食をきちんと食べるのもポイントです。朝起きて、空っぽの胃に食べ物が入るとその刺激により腸の動きが活発になり、便意をもよおしやすくなります。
足踏み運動や階段を上ったりして、排便に関係する腹筋や太ももの筋肉を鍛えるのも効果的です。
一方、水っぽい便が出るのが下痢です。多くは一過性で、数日間消化のよいものを食べ、安静にしていればたいていは治ります。

 

便秘と下痢を繰り返すときは注意して

検査をしても異常がないのに、便秘と下痢を長期間繰り返すときは過敏性腸症候群が疑われます。多くの場合、ストレスが関係しているといわれています。
多少の不便や不快感を感じるといった症状から、通勤で電車に乗るたびに便意をもよおし、ついには電車に乗ること自体が怖くなるという重篤なケースまでさまざまです。日常生活に支障をきたすときは、消化器内科などを受診しましょう。
治療は、生活習慣の改善が第一です。便秘解消の場合と同様、規則正しい食事と適度な運動を実践しましょう。アルコールや香辛料などの刺激のある食べ物は控えます。症状が改善しない場合は、腸の運動を調整するお薬などを用い、ストレスが大きく影響している場合は抗不安薬や抗うつ薬などが使われることもあります。
便秘と下痢を繰り返す病気はほかにもあります。中でも、注意したいのが大腸がんです。ただし、このような症状が現れるのは、がんがある程度大きくなってから。早期に発見するには、自覚症状がなくても、定期的に大腸がん検診を受けることが大切です。大腸がんは、最近では女性のがんの死亡率第1位となっているので、特に女性は積極的に検診を受けることをおすすめします。